IEEE ITSS 名古屋チャプタ 2014年度 第1回講演会「特集テーマ:日本におけるFOT」

 近年,高度運転支援システム,自動運転の実現に向けた研究開発が活発化しており,各国・地域の行政,研究機関,あるいは主要自動車・部品メーカが実用化に向けてのロードマップシナリオを提示している.これらのシステムの市場導入目的は,交通社会の安全・利便性向上,渋滞緩和による環境負荷・経済的損失の低減,街全体での最適なエネルギマネージメントの実現,など多岐にわたっている.システムの全体設計や市場導入による事前の効果見積もりは非常に重要であるが,机上の試算,シミュレータによる予測だけでは不十分である.またそれらのシステムがユーザである我々交通参加者にとって使いやすく,受け入れやすいものであるのかは,実際に運用・利用してみなければわからない点が多い.

 このような課題を解決する手段として,想定しているシステムを試験的に市場導入し,その効果や課題,社会的受容性などを検証するFOT(Field Operation Test)がある.特に米国ではSHRP2と呼ばれるFOTプロジェクトが4年にわたり推進され,数千人規模のドライバの運転データなどを収集し,運転支援システムの効果検証に利用している.また欧州においてもeuroFOTという総称で,様々な実証実験が実施された.日本国内においても路車協調型ITSシステムの実証評価を目的としたスマートウェイ公道実験など大規模な実証実験も数多く実施され,今後FOTの重要性はより一層増していくと予想される.

 本講演会では,主にこれまで国内で実施してきたいくつかのFOTに関して,それぞれのFOTにおける目的,規模,検証手法および結果に加え,企画・推進していく上での課題,将来展望などについてお話いただく.本講演会が,今後新たにFOTを企画していく上での皆様の一助になれば幸いである.

 なお本年6月に,IEEE東京セクションにおいてITSS 東京チャプタが設立されました.チャプタ発足を記念して,東京チャプタの初代Chairである埼玉大学長谷川先生による特別講演も企画しましたので,併せてご参加ください.

  • 主 催:IEEE ITSS 名古屋チャプタ
  • 開催日:2014年7月4日(金)
  • 時 間:13:00~18:00
  • 会 場:名古屋大学 ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー 3F VBLホール

    〒464-8601 名古屋市千種区不老町
    http://www.vbl.nagoya-u.ac.jp/access.html

  • 参加費(資料代):一般5000円,学生1000円

プログラム

  1. 講演会受付【12:30~13:00】
  2. 特別講演【13:00~13:40】
    1. 「IEEE Tokyo Section Intelligent Transportation Systems Society Chapter発足に際して~ミッションと研究開発テーマ~」
      埼玉大学 大学院理工学研究科 教授 長谷川孝明 様
  3. テーマ講演【13:40~15:10】
    1. 「経年変化から見る高齢ドライバの運転の実態」
      産業技術総合研究所 ヒューマンライフテクノロジー研究部門 佐藤稔久 様
    2. 「自動車情報活用基盤による次世代ITSの構築活動」
      インターネットITS協議会 事務局長 時津直樹 様
    3. 「高齢者にやさしい自動車開発プロジェクトについて」
      福岡県 商工部 自動車産業振興室 河口千弘 様
  4. 休憩【15:10~15:30】
  5. 基調講演【15:30~16:10】
    1. 「電子情報通信学会・ITS研究会の活動と学会連携の模索」
      東京大学 情報学環 准教授 上條俊介 様
  6. テーマ講演【16:10~17:40】
    1. 「高齢者事故に備えた支援措置と豊田市高齢者運転行動試験について」
      トヨタ自動車株式会社 製品企画本部 主幹 見市善紀 様
    2. 「米国NHTSAの提唱する公道テストのあり方について」
      インテル 戦略企画室ダイレクタ(名古屋大学 客員准教授) 野辺継男 様
    3. 「Data centric approach for modeling driver behavior」
      名古屋大学 情報科学研究科 教授 武田一哉 様